2008年1月8日火曜日

カタルーニャのロマネスク教会ー(2)


Sant Pere de Graudescales教会



(本文に挿入してある画像をクリックすると、画面を拡大することができます)
今回は普通の観光案内書には載っていない、いわゆる知られざるカタルーニャのロマネスク教会をひとつご紹介したいと思います。

今から2年ばかり前の冬に、バルセロナの友人のG氏ご夫妻が、余り知られていない珍しいロマネスク教会があるのでご案内しよう、と誘って呉れました。場所はバルセロナから北西に100キロ足らずのところで、距離的には大したことはないのですが、途中から川沿いの細い山道を辿って行かねばならないのと、その上あいにくのお天気で霧に巻かれて見通しが悪くなったものですから、雪解けでぬかるんだデコボコ道を、まるで歩くようなのろのろ運転になり、予想以上に時間が掛かってしまいました。

途中で川に渡した木橋があったのですが、橋板が傷んでいてそのうちの何枚かは一部が欠け落ちたりしていましたので、G氏はしばらく橋の上で飛んだり跳ねたりして安全を確認していましたが、念のためみんな車を降りて車体を軽くして橋を渡ったり、などということもありました。
しかも、霧の中を行けども行けどもお目当ての教会が見つからず、「ひょっとして道を間違えたのでは」とか、「そろそろ引き返した方がいいのでは」、などという車中の雰囲気になりかかった頃、とつぜん霧が晴れ、松林の向こうに教会の屋根が見えたので一同大喜びでした。 Sant Pere de Graudescales church

この教会の名前は「グラウデスカレス村の聖ペテロ教会」という、ちょっと舌を噛みそうな名前ですが、10世紀にベネデイクト会の修道院として建てられたのが始まりだそうです。
もうかなり前からグラウデスカレス村は廃村になっており、教会も使われないまま長らく放置されていたようですが、1973年に文化財として今の姿に修復されたということです。

こじんまりした教会で私が持っていたレンズでも全景が写しこめること、そして前から見ても横から見ても実に美しい建物なので、束の間の霧の晴れ間を利用して夢中でシャッターを押していました。 Inside the church 教会の中は、ふだん使われていないこともあり、ごく質素な祭壇とベンチがあるだけで、あとは何の装飾もなくガランとしています。

しばらくするとまた霧が出始めたのでそこそこに引き上げましたが、帰り道に車の窓からうしろを振り返ってみると、教会のあった辺りの松林は再び霧にすっぽり包まれて見えなくなっていました。
まるであっという間に魔法の扉が閉まった、というような感じでした。
私にとっては忘れがたいロマネスク教会のひとつです。

この教会に就ては余り資料も見当たらず、これ以上の詳しい説明は出来ませんが、写真を何枚か添付しておきますのでご覧ください。 Road to the church

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