セルバトスの聖ペテロ教会(Collegiate(Church of Saint Peter of Cervatos, Cantabria)
(For summary in English please see the end of this article)
スペイン全図
写真(1)セルバトス近郊図(Landscape around Cervatos)
写真(2)道路標識(Road Sign)
写真(3)教会南西図(S.W. view of the church)
セルバトスの聖ペテロ教会(Collegiate Church of San Pedro de Cervatos)
セルバトス(Cervatos)の聖ペテロ教会(Colegiata de San Pedro)は、前回ご紹介したSantillana del Marから南に60キロ、州都Santander市からは80キロの距離にあり、コレヒアータ(参事会教会)の名称を持つ由緒ある教会です。12世紀末に鐘塔が完成し現在の外観が整いましたが、もともとは古い起源を持つ修道院がその前身らしく、史料に登場するのは10世紀末、カスティーリャ伯家よりその廟所なみの保護を受けていたという記録ですが、修道院の創建はそれよりもさらに古い時代に遡るようです。
セルバトスは今は数十戸のごく小さな集落ですが、ローマ時代からイベリア半島の内陸部とカンタブリア海岸をつなぐ、いわゆるローマ街道に点在する宿場のひとつでした。このローマ街道を経由して、カンタブリアの海産物がピレネーを越え、ガリア(フランス)にまで送り届けられたのだそうです。
そして中世のセルバトスは、近くのポササル峠(Pozazal標高千米)を越えて内陸からやって来る巡礼者たちにとっては、Santillanaに向かう前に修道院でひと息つく場所であり、また街道を駆け抜ける早馬の使者にとっては、馬を乗り換える中継所でもありました。
確かな記録がないのでこれは私の想像にすぎませんが、8世紀後半からアストゥーリアス王国が対イスラム戦(レコンキスタ)を展開しつつ旧ローマ街道を南下していくにあたって、ポササル峠をひかえたセルバトスの重要性に注目し、王国の後押しでこの地に小さな修道院が設けられ、そしてその周辺に集落が発展した、というような歴史があるのではないかという気がします。
セルバトスの聖ペテロ教会は、軒持ち送り装飾にふんだんに性描写が用いられていることで有名なため、田舎のいっぷう変わったロマネスク教会であろう、との先入感がありました。
しかし実際に現地を訪ねてみて驚いたのは、聖ペテロ教会は腕のよい石工たちがたんねんに築いたことが一見して分かる、堂々とした構えの教会であること、そして信者席にあたる身廊部分はゴシック様式に改装されているものの、鐘塔、後陣、正面扉などは、いずれも端正なスペインロマネスクの美しさを現在に伝えるものであることに、感服しました。
後陣(Apse)
写真(4)南東図(S.E. view of the church)
写真(5)後陣(Apse)
鐘塔の完成は12世紀末ですが、後陣部分はそれに数十年先立つ12世紀初頭に完成したと見るのが通説です。
この後陣を眺めていると、アラゴン地方のロアレ城内に築かれた聖ペトロ教会を思いだします。11世紀後半のスペインロマネスクの傑作のひとつであり、アラゴン王家の礼拝堂でもあった、ロアレ(Loarre)の聖ペトロ教会と比較するのは酷ですが、あるいはセルバトスで教会建設に携わった工匠の中には、ロアレ城を知っている者がいたのかもしれません。
アラゴン王国の威力を内外に示す狙いもあり、フランスから名工を招聘して一気に仕上げたと言われる、ロアレ城の教会ほど洗練されたものではありませんが、半世紀ばかり遅れてセルバトスにもその影響が及んだという感じがします。(『ロアレ城』については2011年7月11日づけのBlog記事をご参照ください。https://surdepirineos.blogspot.ca/2011_07_01_archive.html)
写真(6)後陣の軒持ち送り(Modillions of the apse, some are of erotic theme)
後陣の軒を見上げると、有名なエロス礼賛とも受けとれる軒持ち装飾が目に付きます。だいぶ風化が進んでいますが、男根や女性性器の描写であるとの見分けはつきます。
たぶん教会の説明は、これらの彫刻は性にまつわる堕落を戒めるためである、ということなのでしょうが、私にはこれを彫り込んだ石工たちの念頭には、むしろ巨根崇拝など古代からの伝統があったのではないか、という気がしてなりません。
性にまつわる彫刻は、スペインのロマネスク教会の軒持ち送り装飾でときどき見かけるものですが、セルバトスの聖ペテロ教会ほど数多い例は、ほかに見たことがありません。たしかに特異なそして謎の多い教会です。
写真(7)後陣の軒持ち送り(Modillions of the apse, some are of erotic theme)
写真(8)後陣の窓(Apse window)
教会正面入り口(Main entrance of the church)
写真(9)教会正面入り口(Main entrance of the church)
写真(10)教会正面口の軒持ち送り(Modillions at the main entrance)
写真(11)教会正面口の右壁に掛かる聖ペトロ像(Saint Peter on the right side wall of the door)
写真(12)正面扉(Main door)
写真(13)オリエント風のタンパン(Timpanum of oriental pattern)
教会正面入り口の装飾では、特にオリエント風の文様を透かし彫りにしたタンパンが目を引きます。教会の装飾に関して言えば、タンパンは祭壇につぐ重要な箇所とされ、最後の審判図などキリスト像を刻むことが多いものですが、それとは全く無関係なオリエント風の文様を彫り込んだのはなぜなのか、この点についてはまだ明快な説明を目にしたことがありません。
タンパンとマグサ石(ラントー、英語ではlintel)の間には、6頭の浮き彫りのライオン像が並んでいます。
教会内部(Interior)
写真(14)後陣方向を眺めた図(View towards the apse)
写真(15)祭壇と後陣のアーケード列(Altar & series of arches on the apse wall)
私たちが現地を訪れたのは2年前ですが、事前の情報では教会はふだん閉まっており、鍵は近所の民家が保管しているという話で、時間に余裕がないため内部を見ることは無理かと半ばあきらめていました。ところが運良く教会の掃除にやって来た婦人に出会い、おかげでゆっくり内部を拝観することができました。
写真(16) 胸を合わせた2羽の鳥(2 birds)
写真(17) 聖ペテロと男たち(Saint Peter and men)
写真(18)2頭のライオンと男たち(2 lions and men)
写真(19)渦巻き模様(Spiral pattern)
祭壇背後の後陣の壁には10個のアーケードがつらなり、それぞれに柱頭彫刻がほどこしてあります。ロアレ城の聖ペトロ教会を思わせる構成です。しかし彫刻の質はとりたてて言うほどのものではありません。セルバトスの工匠たちは、腕利きの石工ではあったけれど、超一流の彫刻家ではなかったということでしょう。ただしタンパンの透かし彫りなどがそうですが、神経を張り詰めて一心に石を刻んだ人たちだったと思います。無骨なところのある柱頭彫刻ですが、逆にそれが見る者にホッとするような暖かさを感じさせるところがあります。
私たちが拝観したときは掃除のためでしょうか、ベンチも全て片付けられ教会内部はガランとしていましたが、今でも現役の地区教会としての役割を果たしているようです。
スペインで教会めぐりをしていて困ることのひとつは、シエスタの習慣があることで、貴重な昼間の時間(ふつう1時-4時)を、教会の扉が開くのをイライラしながら待たされることがよくあります。それに加えて、さいきんは余り有名でない教会の場合には、終日鍵がかかっていて中を拝観できず、スゴスゴ引き返すことが多くなりました。
もう何年も前からのことですが、地方ではひとりの司祭がいくつもの教会を掛け持ちするのがふつうで、司祭が各地の教会を訪ね歩いて、週末のミサを時差方式で執り行う時代になっています。ということで、ふだんは盗難防止のため教会に鍵をかけてしまうことが多くなったわけです。
その点では、セルバトスの聖ペテロ教会訪問は幸運に恵まれたものでした。
(Summary in English)
Collegiate Church of San Pedro de Cervatos
The Collegiate church of San Pedro de Cervatos is located about 80 km south of Santander city, capital of the autonomous community of Cantabria. Cervatos is now a very small community of 80 residents but it used to be one of the stops along the ancient road, so called ''Roman Road''. During the Middle Ages it continued serving the pilgrims or travellers as a stop over place before of after crossing the Pozazal pass(alt.1,000 m).
This 12 century Romanesque church is well known for its modillions of erotic theme. However it is an important example of a very well conserved Romanesque architecture, especially the bell tower, the Apse and the main entrance area. The nave was transformed into Gothic style.
Very little is known of the church's origin but its name appears in a 10th century document referring to an endowment by the count of Castile to the monastery which apparently preceded the church. The origin of the monastery should have been of much earlier days
The count of Castile, later the kingdom of Castile, extended strong support to the church during 11-12 centuries which acted as a royal mausoleum for the Castile house. That will explain the expansion of San Pedro de Cervatos during the Romanesque period.
San Pedro de Cervatos still continue serving as a local parish church.
2013年6月30日日曜日
2013年3月31日日曜日
スペイン・ロマネスクの旅(9)サンティリャーナ・デル・マル聖堂(Collegiate Church of Santillana del Mar)
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スペイン地図 Map of Spain

サンティアゴ巡礼路図(Routes of St. James Way, by courtesy of Gronze.com)
サンティリャーナ・デル・マル聖堂(Collegiate Church of Santillana del Mar)
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写真(1)サンティリャーナ・デル・マル聖堂への道(Street to the Church) Click to enlarge
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写真(2)聖堂遠景(左手前は屋根付きの泉水)(View of the Church with a fountain on the front left)
サンティリャーナ・デル・マルの町と聖堂
北スペインのカンタブリア(Cantabria)地方は、愛媛県か愛知県くらいの広さで、人口も60万人にすぎませんが、それでもスペイン国家を構成する17の自治州のひとつに数えられています。カンタブリア人はローマ時代から、外来の支配者に対し抵抗を示した歴史を持ち、8世紀にイスラム勢力がコルドバを本拠にイベリア半島の支配をほぼ確立した時代にも、イスラム政権に抵抗を続けた初期のレコンキスタ拠点のひとつでした。
''カンタブリア''には「山に住む人」の意味があるそうですが、2,500m級のカンタブリア山脈を有するこの地方は、攻めるに難しく守るに適した地形であったことに加え、もともと資源的にはあまり豊かな地域でなかったことから、歴代のイベリア半島支配者も、カンタブリア征服にあたって無理押しを避けた、という面があったのではないかと思います。
首都サンタンデル市から西30キロのところに、美しい回廊を持つサンティリャーナ・デル・マル聖堂があります。この教会は今では地区教会のひとつにすぎませんが、コレヒアータ(参事会教会Colegiata)の尊称を持ち、北スペインのロマネスク様式を現代に伝える歴史ある大教会なので、教会と同じ意味ですが「聖堂」と呼ぶことにします。
SantillanaはSanta Iliana(スペイン語ではSanta Juliana)が転じたものといわれます。西アジア(げんざいのトルコ)で殉教した聖女ユリアナの遺骸が9世紀ころ当地に到来したのを機会に、修道院を建てたのがその始まりとされています。
なお教会の正式名称はColegiata de Santa Julianaですが、一般にはColegiata de Santillana del Marの通称で知られているため、本Blogでもサンティリャーナ・デル・マル聖堂で通すことにします。
Santillana del Mar(海のサンティリャーナ)は、聖堂の名であると同時に町の名前でもあります。古代の洞窟壁画で有名なアルタミラの洞窟が町から3キロぐらいのところにあり、サンティリャーナの町は観光地としてもまた避暑地としても知られています。ただし呼び名に「海の」と付いていても、町は海岸から5キロくらい離れていますが、これはたぶん福島県などでいう「浜通り」、すなわち山岳部に対比して沿岸部にある、という意味なのでしょう。
軒をつらねるおみやげ店をのぞいたりしながら、石畳の緩やかな坂道を下っていくと、聖堂前の広場に出ます (写真-1) (写真-2)
聖堂の南正面入り口(South entrance of the church)
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写真(3)聖堂南面図-テラス入り口の左右を見張るライオン(View of the church from the Plaza de Abad Francisco Navarro)
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写真(4)南正面門(South façade of the church; reformed in the 18C.)
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写真(5)キリストを囲む4人の天使(Christ with 4 angels)
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写真(6)ライオン像(Guardian Lion at the entrance)
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写真(7)キリストと使徒たち(Christ and Apostles)
中世では聖人の遺骸など聖遺物には、奇蹟を起こす力があると信じられていたため、有名な聖遺物を持つ修道院や教会には多数の巡礼者が集まり、また特に霊験あらたかとされる霊場の修道院には、国王や地方領主などが種々の特権を与えて保護したり、多大の寄進をするのが通例でした。その結果、修道院の中には広大な領地を持ち、領地内の支配力や財力において地方領主に匹敵するか、もしくはそれを越える存在になった例がいくつもあります。
大西洋岸沿いのサンティアゴ巡礼北路(Camino del norte)の重要な霊場であった、サンティリャーナ・デル・マル修道院もそのひとつでした。その経緯は良く分かりませんが、11世紀末ころに在俗の参事会員が修道院の管理に参画する、コレヒアータ(Colegiata)に形を変えたようです。そして、のちに修道院の実体がなくなったあとも、尊称の形でコレヒアータの呼び名が残り、現在に至っています。
当初のSantilla del Mar修道院は、プレロマネスク様式の小規模のものでしたが、サンティアゴ巡礼が爆発的な発展を遂げた11-13世紀には、聖女ユリアナの遺骸のおかげで多大の巡礼者や寄進が集まり、修道院の財政も大いに潤ったようで、12世紀から13世紀にかけて、いま私たちが目にする巨大な教会が建設されました。ただしこれだけ歴史の古い大規模な修道院教会でありながら残存する記録は少なく、献堂の時期などもはっきりしません。
南正面(写真-4)が教会の入り口ですが、18世紀の改修で現在の姿に変わっています。屋根のすぐ下にはめ込まれた聖女ユリアナ像はその当時の作品で、ロマネスクとは無関係です。
しかし入り口の壁に掛けてある、4人の天使がキリストを囲む像(写真-5)や、その左右に位置する使徒らしき像(写真-7)は、なかに頭や腕が欠けているものもありますが、いかにもスペイン・ロマネスクらしい、暖か味を感じさせるものです。これらの彫刻作品は、もともと13世紀の改修で取り壊された西正面入り口を飾っていたものではないか、と考えられています。
教会南正面前のテラス入り口に構えているライオン(写真-6)も、長年の風雪にさらされ骨格だけが残ったという感じですが、それが逆に力強い印象を与えます。
後陣(Apse)
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写真(8)後陣(Apse)
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写真(9)南後陣-右側窓(South Apse)
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写真(10)南後陣右側窓の装飾-そっくり返った人物像(Human figure on the south apse)
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写真(11)南後陣-左側窓(South Apse)
写真(8)は、東方向に張り出した後陣を眺めた図ですが、うしろに見える教会交差部の塔は高さ約20米、中央後陣も12米を越える高さで、どっしりとした構えが目を引きます。写真の左手にもっとも保存状態のよい南後陣が見えます。
写真(9)は南後陣の右側の窓の図ですが、アラゴン州のハカ大聖堂でおなじみの「ハカのチェス模様」と呼ばれる、切り餅を連ねたような模様が、窓の下部を帯状に飾っているのが目を引きます。ハカ大聖堂は、サンティアゴ大聖堂とほぼ同じ時期に着工されたスペインで最も古いロマネスク大聖堂ですが、この「ハカのチェス模様」はサンティアゴ巡礼路に沿って、スペイン各地の教会建築に広がっていきました。
軒持ち送り(Modillion)
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写真(12)軒持ち送り(Modillion)
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写真(13)軒持ち送り(Modillion)
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写真(14)軒持ち送り(Modillion)
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写真(15)軒持ち送り(Modillion)
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写真(16)軒持ち送り(Modillion)
軒持ち送り(英語ではModillion)は、軒下を支える役目を持つ装飾です。教会内部や回廊の柱頭彫刻は、施工主である修道院や教会の意向を反映して、主として宗教的な題材が選ばれますが、いっぽう軒持ち送りの方は、工匠たちのアイデアを生かすことが許される箇所だったようです。スペイン各地のロマネスク教会を訪ねていると、よくもこんな猥雑な軒持ち送りの絵柄が許されたものだ、などと目を見張ることがあります。
サンティリャーナ・デル・マル聖堂の軒持ち送りは、その意味ではあまり驚くような絵柄ではありませんが、人物像や奇怪な動物像などがいずれも生き生きとして、しかもどこかユーモラスな雰囲気があり、南正面門の彫刻と同じく、なんど見てもあきない楽しいものです。
カンタブリアなど北部スペイン地方は、キリスト教の浸透が遅れたことから、異教的習俗が長期にわたって保持されたと言われます。聖堂の持ち送りに見られる異様な動物や人物像などは、工匠の個人的な思いつきというより、むしろ工匠が所属する集団の習俗に根ざすものがその背景にあり、それが作品に生命力を与えているのではないか、という気がします。
教会内部(Interior of the Church)
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写真(17)教会内部の図(Interior of the Church)
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写真(18)教会内部の柱のひとつ(One of the principal columns)
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写真(19)柱頭彫刻(Capital)
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写真(20)中央祭壇の図(Central altar)
教会の中はずいぶん広いな、という印象を与えます。全長は40米を越え、身廊と側廊をあわせた横幅は15米くらいで、ハカ大聖堂よりもすこし大きい感じがします。
中央祭壇には、聖女ユリアナの生涯を描いた豪華な16世紀の祭壇衝立(Retablo)がそなわり、祭壇の前飾りには4人の使徒の浮き彫りがはめ込んであります。12世紀スペイン・ロマネスク彫刻の逸品、と評価の高い浮き彫りの名作ですが、クローズアップの写真を撮り損ねたのが残念です。
回廊(Cloister)
サンティリャーナ・デル・マル聖堂の見どころは、何と言っても回廊でしょう。12世紀末から13世紀はじめにかけて建設された、スペイン・ロマネスク後期の作品ですが、柱頭彫刻の中にはロマネスク初期を思わせる、素朴で力強いものがあります。
回廊を拝観するには、教会からいちど外に出て、西側に設けられた回廊専用入り口で拝観料を支払うしくみになっています。観光客の多い教会にしては余計な説明など目に付かず、まるで現役の修道院回廊のような、きりっと引き締まった雰囲気に感心させられます。
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写真(21)正面が回廊の北側、左手に西側の一部が見える(North-West view of the cloister)
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写真(22)回廊西側を中庭から眺めた図。右手が北側の一部(West view of the cloister)
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写真(23)北側の図。壁に沿って石棺が並べてある。(North corridor with sarcophagi)
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写真(24)回廊南側の図。左手が入り口に近い西側廊下(Corner of South corridor and West)
回廊は北側(30.5m)と南側(28.5m)が、西側(27.3m)と東側(27.50m)より少し長い、変形の四辺形を形作っています。制作年代順に見ると、もっとも古いのが南側、ついで入り口に近い西側、そして北側という順序になります。東側は一面ツタに覆われていますが、すっかりゴシック様式に改装されており、柱頭彫刻にも見るべきものはありません。
柱頭彫刻(Capitals)
回廊には49の柱頭がありますが、北側と西側は植物文様が主体なので、物語性のある南側の柱頭彫刻から10個を選んでご紹介します。
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写真(25)からみあう蛇とアカンサス(Serpents and Acanthus)
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写真(26)龍を退治する騎士(Knight against a dragon)
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写真(27)龍退治の騎士を助ける天使たち(Angles helping the Knight)
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写真(28)馬の死体をついばむ禿たか(Vulchers around dead horses)
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写真(29)怪獣と戦う騎士(Knight against a monster)
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写真(30)獅子を乗りこなすダビデ(David on a lion)
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写真(31)花束を手に騎士を迎える婦人(Woman with flower receiving a knight)
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写真(32)キリスト降架(Descent from the Cross)
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写真(33)ライオンに囲まれた聖ダニエル(Saint Daniel and the lions)
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写真(34)ツタ文様(Shoot pattern)
柱頭彫刻が何を表しているかについては、いろいろ意見がわかれるところですが、とりあえず私に理解できる副題をつけておきました。
また、サンティリャーナ・デル・マル聖堂の建設時期に関しても異論があり、通説は12-13世紀となっていますが、教会建設はそれより古い11-12世紀で、回廊は12世紀末-13初めのもの、と見る説があります。
サンティリャーナ・デル・マル聖堂の魅力は、過度の修復の手が加わっておらず、また今も現役の地区教会であることから、いきいきとした祈りの場の伝統が保たれているところにあると思います。
聖堂を飾る、風化で細部が磨耗してしまった彫刻には、大胆な筆運びのデッサンのような力強さがあり、また「キリスト降架」の柱頭彫刻(写真-32)なども、じっと眺めていると、工匠の祈りが伝わってくる思いがします。
サンティリャーナ・デル・マル聖堂は、ロマネスクが宗教美術であることを、改めて感じさせてくれる教会です。
(Summary in English)
Collegiate Church of Santillana del Mar
Santillana del Mar is a beautiful small town in Cantabria, northern Spain, which is well known for its Collegiate Church of the 12th century. The town is located at 30 km west of Santander, capital city of Cantabria, and is at a few kilometers from the cave of Altamira.
The church has its origins in a monastery dating from 9th century when, it is believed, the relics of Santa Juliana, martyr of 3rd century in Nicomedia(Turkey), was brought to Cantabria.
Over the course of the 11th century it was transformed into a collegiate church, although the building visible today dates from the 12th century. It is one of the best kept Romanesque churches in Spain with a magnificent cloister. The altarpiece is the work of the 16th century which describes the life of Saint Juliana.
The cloister was built between late 12th century to early 13th century and has 49 capitals. The south side is of the oldest construction which was followed by the west side and the north side. The east side, covered by ivy, was remodeled during Gothic period.
The photos of #25-#34 are the selected pieces of the capitals along the south corridor.
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